松原市薬剤師会研修会27-7

会員の皆さまへ
松原市薬剤師会研修会27-7 を行いました。
ご出席ありがとうございました。

日時:平成27年10月18日(日)10:00~12:30
場所:(新)松原市立保健センター 3階 保健相談室

  1. プラザキサ服用患者のアドヒアランス向上のために -日本ベーリンガーインゲルハイエム
  2. 毒物・劇物の管理・販売について - 松原警察署警備課
  3. 統合失調症患者と家族の関わりについて - 井内薬局 実習生 辰己英里子
  4. 去痰薬の作用機序の違い ムコダインとムコソルバン - 太田薬局 実習生 松本謙吾
  5. 腎臓機能と疾患、血液検査値について - 井内薬局 井内生子
  6. その他

今日のJPALS

直接トロンビン阻害剤 プラザキサカプセル75mg、110mg
【心房細動】
◆心房細動ってどんな病気
不整脈の一つで、心臓の心房と呼ばれる部分がプルプルと震え、心臓本来の正しい収縮と拡張ができなくなった状態です。高齢になるほどおきやすくなります。
◆心房細動の症状って?
めまい、動悸、胸痛、呼吸困難など、心房細動の症状は人によって異なり、生活に支障をきたす場合もありますが、まったく自覚症状がなく定期健診などで見つかることもあります。
◆心房細動の原因って?
心房細動は、心臓の病気や生活習慣、生活環境の乱れが原因で起こります。また、加齢や他の病気(高血圧、糖尿病、甲状腺機能亢進症など)の合併などさまざまな原因が考えられます。
◆心房細動の治療って?
1、心房細動以外の病気の治療や生活習慣の改善
2、脳梗塞の予防
3、心房細動そのものの治療
◆心房細動が脳梗塞の原因になるの?
心房細動が続くと心臓から血液がうまく流れなくなります。それにより心房内で血のかたまり(血栓)ができやすくなります。この血栓が脳に運ばれ脳の太い血管を詰まらせると、脳梗塞が起こります。
心房細動が原因の脳梗塞は、血栓が脳の太い血管(動脈)を詰まらせるため脳の広範囲が障害を受け、ひどいときには死に至ります。また、一命をとりとめても重度の障害が残ったり、寝たきりになったりすることがあります。

 

【統合失調症】
◆統合失調症の発症
脆弱性(もろさ);遺伝・脳のトラブル・気質・性格
ストレス;環境(転校、親の離婚など)、ライフイベント(卒業など)、病気
◆ストレス性弱製仮説
精神病状態の発現は、ストレスの大きさとストレス耐性の強弱との関係で決まり、ストレス耐性が低いとわずかなストレスでも精神病状態に至る。
◆頻度
統合失調症の生涯発症率は約0.85%(120人に一人)で、日本の入院患者の13%を占めている。
◆時期
青年期(15~25歳)を中心に最も発症しやすく、次第に症状が進行する。発症率そのものに男女差はない。
◆予後
薬物治療を行わない場合、約80%が再発。
◆病態
何らかの原因でさまざまな情報や刺激に過敏になりすぎてしまい、脳が対応できなくなる。その結果として感情や思考をまとめる(統合する)機能が働かなくなる状態。
◆陽性反応;中脳辺縁系のドパミン機能上昇
幻想や妄想といった、本来あるはずのないものが現れす症状
◆陰性反応;中脳皮質系のドパミン機能低下
感情の平板化や意欲の減退、思考の低下がみられる。多くは陽性反応に遅れて現れる。
◆認知機能障害;中脳皮質系のドパミン機能低下
記憶・思考・理解・計算・学習・言語・判断などの知的な能力に障害がみられ、生活や社会活動全般に支障をきたす。
◆治療薬
・定型抗精神病薬;ドパミンD2遮断作用
フェノチアジン誘導体;コントミン、フルメジン
ブチロフェン誘導体;セレネース、インプロメン、スピロピタン
・非定型抗精神病薬;ドパミンD2遮断作用+セロトニン遮断作用
ベンズアミド誘導体;ドグマチール
SDA;リスパダール、ルーラン
MARTA;ジプレキサ、セルクエル
DSS;エビリファイ
◆患者家族における問題
・EE(Expressed Emotion;感情表出)
精神疾患の患者に対する摂氏肩を表す用語
患者にとって苦痛となる家族の感情表出をいう
高EE;批判、敵意、患者の言動に左右されすぎる
高EEと低EEでは再発率に約5倍の違いがある
・EEを低くするために家族が気をつけること
1、自分で全て何とかしようと考えないで専門家に相談する
2、疾患について学ぶ
3、共感してもらえる場に顔を出す
4、適度な距離感を意識する
・EEを低くするために患者さんが気をつけること
1、家族に感謝の言葉をかける
2、家族に自分の時間を取らせてあげる
3、自分の病状を伝える

 

去たん薬の作用機序の違い「ムコダインとムコソルバン」
【ムコダイン錠250、錠500、細粒50%】
カルボシステイン錠 気道粘液調整・粘膜正常化剤
・効能・効果
下記疾患の去たん;上気道炎、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核
慢性副鼻腔炎の排膿
◆薬理作用
・粘液構成成分調整作用
カルボシステインは、慢性気道疾患患者の喀たん中のシアル酸とフコースの構成比を正常化し、また、障害された粘膜上皮の線毛細胞の修復を促進することにより、粘液線毛輸送能を改善する。
【ムコソルバン錠15、45】
アンブロキソール塩酸塩 気道潤滑去たん剤
・効能・効果
下記疾患の去たん;急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、塵肺賞、手術後の喀たん喀出困難
◆薬理作用
肺粘液の生産を高め、たんと気道粘液との粘着性を低下させ、また、繊毛運動を亢進させることにより喀たんの排除を容易にする

 

腎臓の機能と疾患
【腎臓の働き】
1、老廃物を体から追い出す
・腎臓は血液をろ過して、老廃物等(塩分やリン、カルシウム、体内に再吸収されなかった物質等)を尿として体から排出する
・体に必要な物質を再吸収し、体内に留める
・腎臓の働きが悪くなり、排泄(尿)が出なくなると老廃物や毒素が体に蓄積され尿毒症になる
2、血圧を調節する
・塩分と水分の排出量をコントロールする事により血圧を調整する。
・血圧を維持するホルモンを分泌し、血圧が低い時に血圧を上げる
・腎臓の働き低下によって高血圧になり、高血圧は腎臓に負担をかけ働きを悪化させるという悪循環を繰り返す
3、血液をつくる司令塔の役目
・血液(赤血球)は骨髄にある細胞が、腎臓から出るホルモン(エリスロポエチン)の刺激を受けて作られる
・腎臓が悪化するとホルモンが出てこなくなり、血液が十分につくられず、貧血になる
4、体液量・イオンバランスを整える
・体内の体液量やイオンバランスを調節したり、体に必要なミネラルを体内に取り込む役目も担っている
・腎臓が悪くなると体液量の調節がうまくいかず、むくみの原因になり、イオンバランスが崩れると、疲れやめまいなど、様々な不調をきたす
5、強い骨を作る(骨代謝の維持)
・カルシウムを体内に吸収させるのに必要な活性型ビタミンD(V.D3+)を作る
・腎臓の働きが悪くなると、V.D3+が低下し、カルシウムが吸収されなくなり骨がもろくなる
・カルシウムが少なくなると骨が弱るだけでなく、血管が固くなる
・骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)に繋がっていく
6、インスリンの分解」
・腎不全期になると遅くなる
・インスリンには腎尿細管におけるNa再吸収促進機能がある
・近位尿細管での尿酸の再吸収を促進させる作用もある