松原市薬剤師会研修会27-9

会員の皆さまへ
松原市薬剤師会研修会27-9 を行いました。
ご出席ありがとうございました。

日時:平成27年12月10日(日)20:30~22:00
場所:(新)松原市立保健センター 3階 保健相談室

  1. サインバルタを使用した最新の治療法 - イーライリリー
  2. 症候学とトリアージを学ぼう - 白馬副会長
  3. その他

今日のJPALS

サインバルタカプセル20mg・30mg セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤

◆この感じ・・・ なんて伝えたら・・・ 『なんだんか、つらくて』
抑うつ、焦燥感、意欲低下、倦怠感、不安、体の痛みやうずき

【うつ病の症候学と寛解】
うつ病の神経症状
・ 抑うつ気分
・ 不安・焦燥感
・ 希死念慮
・ 興味・関心・喜びの喪失
・ 意欲の障害
・ 思考面の障害

うつ病の身体症状
・ 睡眠障害
・ 食欲障害、体重変化
・ 易疲労感、全身倦怠感
・ 自律神経症状
・ 疼痛製身体症状
※頭痛が最も多く、首、肩、背中、腰など多岐に及ぶ ”不快な重圧感” と表現されたり、日内変動を呈することも多い

図;うつ病の寛解 ; 疾患の進行⇒反応⇒寛解⇒再燃⇒回復⇒再発
図;セロトニン及びノルアドレナリン再取り込みに対する阻害作用
図;セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンの働きとうつ病の症状との関連
図;うつ病の症状に対するサインバルタの効果

図;痛みの有症率をうつ病の重症度別に見たところ、軽症のうつ病で45.6%が痛みを有していた
図;身体的な痛みの有無と反復性うつ病の寛解までの期間
図;身体的な痛みの症状の改善度別 寛解率の軍間比較
図;疼痛身体症状を有するうつ病におけるサインバルタの作用

 

◆サインバルタは糖尿病性神経障害に伴う疼痛を適応症として世界98の国と地域で、線維筋痛症に伴う疼痛を適応症として世界37の国と地域で承認されています。

・ 下行性疼痛抑制系を賦活
下行性疼痛抑制系を賦活し鎮痛効果を発揮する疼痛治療剤です。
・ 有効性
糖尿病性神経障害に伴う疼痛を対象とした国内第三相優越性試験、及び国内第三相継続投与試験において有効性が示されました。繊維筋痛症を対象とした国内第三相優越性試験において有効性が示唆され、国内第三相継続長期試験において有効性が示されました。
・ 1日1回の薬剤です

【痛みのメカニズム】
下行性疼痛抑制系の機能異常が、慢性の痛みの原因の一つであると考えられています。
・痛みが伝わる経路には痛みの感覚を伝える上行性疼痛伝達系と、痛みを抑制する下行性疼痛抑制系があります。
・上行性疼痛伝達系と下行性疼痛抑制系がバランスよく働くことで痛みのレベルが適切になるよう調整されています。
・ 慢性の痛みの原因として下行性疼痛抑制系の機能異常や、脳の機能異常を含む脊髄後角におけるシグナル伝達の異常があると考えられています。
・ セロトニンとノルアドレナリンは能及び脊髄の下行性疼痛抑制系の賦活を介して痛みの抑制に関与しています。

【サインバルタの作用機序】
・ サインバルタはセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、下行性疼痛抑制系を賦活させることによって鎮痛効果を示すと考えられています。
痛みが続いている状態 ⇒ サインバルタの投与 ⇒ セロトニン・ノルアドレナリン濃度が上昇 ⇒ 下行性疼痛抑制系の機能を賦活 ⇒ 脊髄後角で痛みの情報伝達を抑制 ⇒ 疼痛を抑制

図;サインバルタは投与一週目から良好な鎮痛効果を示しました。
図;サインバルタの鎮痛効果は、長期にわたり継続しました。

 

◆うつ病の Mind & Body
症状の表現として「気分障害」に記載されている精神症状と身体症状を参考に、12の症状が描かれています。また、患者さんが日ごろ感じている困難な状態を先生に伝えやすくできるように、患者さんの実際の声を参考にしんがら患者さんとともに作り上げられました。
・抑うつ;気分が重苦しい、泣きたくなる
・不安焦燥感;ちょっとしたことが不安でドキドキする、いてもたってもいられない
・思考制止;人の話しを聞いても、本を読んでいても、内容が頭に入ってこない
・興味、関心、喜びの喪失;いつもなら楽しいことが気分が進まない、やる気が出ない
・精神運動抑制;着替え、歯磨きなどの身の回りのことが、おっくうに感じられてできない
・思考内容の障害;ものごとを悪い方に考えてしまう
・食欲体重減少;食事がおいしくないし、つまらない。「食べなきゃ」とおもうけれど進まない。
・易疲労感倦怠感;体がだるいし、疲れやすい。体の疲れが取れない。
・希死念慮;自分のことなんてどうでもいい、消えてなくなりたい。死にたくなったことがある。
・睡眠障害;いつもより早く目が覚めるし、寝ようとしてもなかなか寝付けない。
・身体的な痛み;体のあちこちが重く感じる。ずーんとする。頭痛・頭重感、首痛、関節痛、肩痛、胸痛、背痛、腰痛、腹痛、手足の痛み。
・自律神経障害;なんとなく体の不調はほかにもあって・・。動悸、耳鳴り、息苦しさ、口が渇く、めまい、体重増減、性欲低下。

 

2、症候学とトリアージを学ぼう 腰痛

LQQTSFA
L;Location どこが?
Q;Quality どのように?
Q;Quantity どのくらい?
T;Timing いつ?いつから?
S;Setting どのような状況で?
F;Factor どんな場合に悪くなる(良くなる)か?
A;Associated Manifestation 同時にどんな症状があるか?

・腰痛の原因と病名
転倒、しりもちの有無
排尿障害の有無
・腰椎圧迫骨折
・腹部大動脈瘤破裂 ; 激痛、ショック状態
・急性大動脈乖離 ; 激痛、背中から腰に痛みが移動
・尿路結石 ; 激痛、冷汗、嘔吐、血尿、廃部の殴打痛
・非特異的急性腰痛(ぎくり腰) ; きっかけあり、体動で悪化、痺れなし
・脊椎感染症(細菌性) ; 発熱、食欲低下
・急性腎盂腎炎 ; 発熱、食欲低下、背部の殴打痛
・帯状疱疹 ; 左右片方だけの発疹・水疱
・馬尾症候群 ; 肛門周囲のしびれ感
・脊椎腫瘍 ; 就寝後の痛み
・脊椎感染症(結核性) ; 微熱、結核の既往
・非特異的慢性腰痛 ; 日常のストレス
・腰部脊柱管狭窄症 ; 間欠性跛行
・腰椎椎間板ヘルニア ; 大腿背側のしびれ