第22回近畿薬剤師学術大会

第22回近畿薬剤師学術大会において口頭発表・ポスター発表をしてきましたので報告します。

【 大会概要 】
メインテーマ;笑顔あふれる“薬師のこころ”
~いにしえの都から新しい時代の幕開け~
1 .期日:2019年11月17日(日)
2 .会場:なら100年会館(参加受付、全体会、分科会会場)
ホテル日航奈良(分科会、展示会場)
3 .主催:公益社団法人日本薬剤師会 近畿・大阪ブロック
4.主管:一般社団法人奈良県薬剤師会

第6会場 (ホテル日航奈良4F 飛天D)
口頭発表3 「健康サポート薬局」 13:20~14:10
座長:一般社団法人京都府薬剤師会 薬薬連携委員 武田 紗代子

O3-1 松原市薬剤師会における健康サポート薬局届出の促進と育成
松原市薬剤師会 会長 磯野元三

O3-4 薬剤師・薬局の取組事例「献血サポート薬局」
松原市薬剤師会 広報部 岡山純子

ポスター会場 (ホテル日航奈良4F ホワイエ)ポスター展示 10:00~15:30
P-29 南河内圏域 糖尿病重症化予防 眼科受診勧奨・HbA1c普及事業 松原市薬剤師会 芝池 淳

【 発表要旨 】
O3-1 松原市薬剤師会における健康サポート薬局届出の促進と育成
○磯野 元三 松原市薬剤師会
松原市内には 7 校の中学校がある。平成31年 2 月、松原市の健康サポート薬局数が 8 薬局となった。早期に市内の中学校数を超えたので報告する。
【目的】
平成28年より健康サポート薬局研修が始まり、同10月より知事への届出が始まった。松原市薬剤師会では、会員38薬局に対して健康サポート薬局を育成するための取り組みを行っている。
【方法】
平成29年より会員薬局に対して「健康サポート薬局」に対する下記の意識調査を 3 回実施した。
1 、あなたは健康サポート薬局を目指していますか? はい いいえ わからない
2 、技能習得研修・e-ラーニングをどちらか受講しましたか? はい いいえ
3 、技能習得研修・e-ラーニングを両方受講済みですか? はい いいえ
4 、健康サポート薬局の届け出を大阪府に提出済みですか? はい いいえ
さらに健康サポート薬局届出を促進するために、松原市薬剤師会Webページで健康サポート薬局の届出に必要な書類のひな型を公開している。また、毎月開催している支部研修会において、認知症サポーター養成講座、ゲートキーパー養成講座、介護保険制度・地域包括支援センターについてなどの講座を実施し、地域についても学習している。合わせて、研修会では各薬局で行った健康サポートの取り組みを口頭発表してい
ただき届出書類を作成しやすくしている。
【結果及び考察】
平成29年 6 月、平成30年 1 月、平成31年 2 月と 3 回実施した意識調査の結果は次の通り。
1 、はい 25薬局 → 23薬局 → 24薬局
2 、はい 20薬局 → 18薬局 → 設問なし
3 、はい  9 薬局 → 10薬局 → 20薬局
4 、はい  2 薬局 → 3薬局 → 8薬局
令和元年を迎える前に、中学校数を超える健康サポート薬局の育成が達成できた。支部研修会でさらに地域や介護について学習して、薬局実務実習生と共に、市民・府民に対しての健康サポートを実施していく。
【キーワード】
健康サポート薬局

O3-4 薬剤師・薬局の取組事例「献血サポート薬局」
○岡山 純子 松原市薬剤師会
「平成29年度地域包括ケアシステムにおける薬剤師・薬局の取組事例集」(日本薬剤師会)に「献血サポート薬局」活動が掲載された。この活動は、かかりつけ薬剤師指導料算定要件の地域活動などとの相性が良く、松原市では多数のかかりつけ薬剤師・府薬認定かかりつけ薬局・健康サポート薬局の育成に至っているので詳細を報告する。
【目的】
大阪府藤井寺保健所管内の薬局・大阪府赤十字血液センターが連携し、献血の促進と献血者への相談や指導に積極的に取り組んでいる。薬局と薬剤師の職能を活用し、生活者の健康をサポートする「献血サポート薬局」を全国に先駆けて実施した実績を報告する。
【方法】
(一社)松原市薬剤師会(会員38薬局)では、平成28年より血液センターの研修を受講した31薬局が「献血サポート薬局」として下記の活動を開始した。
1 、献血者への健康相談:献血後「検査成績のお知らせ」が届く。薬局で自己採血検査をするには厚生労働省が定めた「検体測定室」を設けなければならないが、この「検査成績」の数値を利用して健康相談や受診勧奨を行っている。
2 、再献血の促進:献血バスの隣で「街頭献血サポート薬剤師活動」をしている。献血できなかった方に対して、その場で食事・栄養・生活相談を実施する。血液提供の善意と献血できる健康な身体を維持していただき、再献血に訪れていただけるように薬剤師がサポートしている。
【結果】
献血が出来なかった方は 1 割存在する。令和元年 5 月末現在、薬剤師・実習生のべ270人が出動し、街頭献血35回、不採血者513人のうち364人に対して街頭献血サポート薬剤師活動ができた。
【考察】
献血健康相談マニュアルに沿って献血者のサポートが出来たかどうか、大阪府赤十字血液センター「健康管理実施表」を集計し検証する。
【キーワード】地域包括ケアシステム、薬剤師・薬局の取組事例、献血サポート薬局

P-29 南河内圏域 糖尿病重症化予防 眼科受診勧奨・HbA1c普及事業
○芝池 淳
1)、磯野 元三1)、島岡 勇介2)、中西 秀之3)、大橋 甲三郎4)、簗瀬 裕彦5)、
南 啓二6)、企画調整課 7)
1) 松原市薬剤師会、2) 羽曳野市薬剤師会、3) 藤井寺市薬剤師会、4) 富田林薬剤師会、5) 河内長野市薬剤師会、6) 大阪狭山市薬剤師会、7) 藤井寺保健所
【目的】
1.糖尿病患者が、眼合併症(糖尿病性網膜症、失明)予防のために定期的に眼科受診をする。
2.糖尿病患者がHbA1cの意味を理解することで生活習慣改善を促し、重症化を防ぐ。
上記により、糖尿病患者の生活習慣改善を促して重症化を防ぐことにより、健康寿命の延伸につながる。
【方法】
1)南河内圏域薬剤師会会員薬局(事業実施期間中219ヶ所)が、糖尿病薬の処方のあった患者へ眼科受診勧
奨カードを配付する。配布期間は2019年 6 月 3 日~ 6 月30日。
*カードにHbA1cの値と検査日、薬局名を記入する。
*眼科受診の必要性及びHbA1cの意味について、リーフレットを用いて説明する。
*2019年 7 月19日までに藤井寺保健所にカード配付枚数等を報告する。
2)眼科標榜医療機関(47ヶ所)が患者から眼科受診勧奨カードを受取り、機関名を記入して保管する。保管期間は2019年 6 月 3 日~ 8 月16日。
*保管期間終了後、カードはアンケート回答と共に藤井寺保健所が回収する。
3)南河内圏域医師会医療機関・薬剤師会会員薬局
2019年 5 月以降、眼科受診啓発ポスターを掲示し、眼科受診及び生活習慣改善の必要性を啓発する。
【結果および考察】
カード配付に関するアンケートに回答した薬局数は184ヶ所であり、158ヶ所の薬局で 1 枚以上のカード配付があった。配付数は3,163枚であり、カードを受取らなかった患者の931人を併せると、4,094人に対して眼科受診の勧奨と、HbA1cの普及啓発を行うことができた。本事業を通して、①糖尿病合併症を患者と再認識する機会となった②糖尿病長期治療者で眼科未受診者がいることが分かり眼科定期受診に繋げる患者の掘り起こしになった等の意見があった。今後、眼科へのアンケートを実施し総合的な事業評価を行う予定である。
【キーワード】
糖尿病重症化予防、糖尿病合併症、糖尿病性網膜症、健康サポート、眼科受診勧奨
HbA1c普及啓発