第2回 南河内ブロック在宅医療支援研修会に参加して

現在、在宅医療を行っている方は2名です。在宅訪問を始めるきっかけは、2件とも、薬局側から医師への提案によるものでした。お二方とも要介護認定を受けていらっしゃるので、介護保険によるサービスの提供となります。そのため、重要事項説明書を用いての説明、同意を得ての契約の締結が必要でした。利用者様に理解力があり、私(薬剤師)と利用されるご本人との間で契約を交わすことができましたが、 “契約”という行為には、いろいろと時間を要しました。

これがもし、介護サービス、介護予防サービスの利用開始と時期を同じにしていたら、利用者様の契約等にかかる時間も短縮できたのではないかと思います。
ケアプラン作成の段階で、薬剤師による服薬管理をケアマネさんの念頭に置いて頂ければ、もっとスムーズに在宅医療を開始できるのではないかと思います。
居宅療養管理指導のサービス費用が、在宅サービス利用の支給限度額の枠外で組めるからこそ、利用しやすいのではないかという思う反面、枠外であるから組み込まれにくいサービスなのかなという思いもあります。薬の管理、服薬指導は介護サービスの一環であり、在宅サービスの一つとして受けることができるということ、そのためには、薬局との契約や利用者負担が必要となるということを薬剤師からだけでなく、担当のケアマネさんから利用者様に説明があれば、よりよいケアに繋がるのではないかと思います。

また、診療所としては、その診療報酬の在宅患者訪問看護・指導料は、保健師、助産師、看護師が訪問した場合には算定でますが、薬剤師の訪問に対しては規定がないところから、積極的に薬剤師の在宅訪問を勧めないのかもしれません。(在宅患者訪問看護・指導料についての理解が誤っていたらすいません…)

そのような体制の中で、薬剤師の在宅医療を推進していくためには、やはり薬剤師という職種をもっともっと知ってもらう必要があるのでしょう。医師、ケアマネさんのみならず、看護師さん、ヘルパーさん、あるいは行政の方々とのチーム医療連携に積極的に乗り出すことは初めの一歩の必須事項です。

ところで、在宅医療ではなく、一包化して玄関先にお届けする患者さんもいます。
お薬をお渡しするときに、服薬指導を行います。患者さんの様態変化もうかがいます。コンプライアンスも確認します。
しかし、もちろん、在宅のレセ請求はできません。
「あとは訪問看護師さんがセットしてくれるから、このまま触らず置いておくように(看護師さんに)言われてるねん」と患者さま。
病院からご自身で処方箋を薬局に持ってこられ、薬剤師に新しい薬の説明を聞いたり、どうしてこの薬は飲まなくてもよくなったのかを聞いたり、血液検査の結果の解説を聞いたり、時に、ご家族の愚痴をこぼされたり、体調不良を嘆いたりされ、その後、一包化に時間がかかるため、一旦、お帰りいただき、出来上がり次第お届けに行く。薬局の仕事、薬剤師の仕事はそこまで。カレンダーに薬をセットするのは看護師さんという患者さんの概念です。いかに、今まで、薬剤師は薬局の中から出なかったかということの裏付けとなる感覚ですね。

本日、磯野先生がおっしゃっていました。薬剤師が薬剤師としての職務を全うすることにより、看護師さん、ヘルパーさんはもっと自分たちがやるべき仕事をする時間ができるに違いない、と。

これには、目からうろこが落ちました。
他の職種の方でも薬の管理ができるならそれはそれでいいかなと思っていましたが、薬剤師が我々の携わることのできる仕事をやっていくことで、他の職種の方はさらに自分たちの専門の仕事を患者様、利用者様に提供することができるのですね。
そうして、切り開いていったチーム医療連携への道の中で、看護師さん、ヘルパーさんにはなしえない薬剤師としての専門的なサービスも提供できるようになるのだと思います。

そのために不可欠なのは、保険薬局のマンパワーです。薬局に薬剤師が不在という時間は許されません。
しかし、現行の調剤報酬システムでは、数件の在宅医療を受け入れるだけでは、薬剤師の増員を経営者は考えられないのでしょう。
院外処方せんを受け入れながら、保険請求の要件を満たした在宅医療にも取り組んでいく、それは、院外処方せん受入に重きをおいている現在の薬局の状況では、勤務薬剤師の負担が大きすぎます。
在宅訪問薬剤師業務を考えていくと、いつもこのジレンマに陥る一勤務薬剤師でした。

本日は、研修会に参加したものの、そのアンケートは自由記載欄が多すぎて、思うところのたくさんある私には、書き上げる時間が足りません。ですので、今、改めて、本日の研修の感想を取り留めもなく綴ってみました。

大阪大谷大学薬学部臨床薬剤学講座の諸先生方、アンケート調査に協力できずスイマセンでした。
しかし、このアンケート調査には無理がありませんか?日頃、考えを長文にまとめ上げることのしない参加者(←私だけがそうなのかもしれませんが)にとって、その場で書いてもらうには、自由記載欄がありすぎです。

役立つ回答を得たい気持ちが伝わりすぎるアンケート用紙でした!

太田薬局 岡山

南河内ブロック在宅医療支援研修会

第2回 南河内ブロック在宅医療支援研修会に参加して」への1件のフィードバック

  1. 磯野

    南河内ブロック研修会レポートの記載ありがとうございます。
    合わせまして、おほめの記載もありがとうございます。

    2025年 団塊の世代が後期高齢者になる、2025年問題まで残り12年です。
    高齢化社会のみならず、多死(多くの人が亡くなる)時期に入ります。
    病院や介護施設のみでは 「看取り」 が出来ず、看取り難民問題も顕著化すると予想する方もいます。
    そんな中で、薬剤師が在宅訪問を行うことにより、多職種が協働して自分達の専門の仕事を成し遂げることが大事になります。
    薬剤師の在宅進出を考えていきましょう。

コメントを残す